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W杯カタール大会開幕間近「乳牛が空輸された」

カタールの首都ドーハには数カ月前からサッカーW杯出場国の旗がはためく zVg

サッカーのワールドカップ(W杯)カタール大会開幕まであと1週間。開催国カタールはW杯開幕を前に厳しい批判にさらされているが、そこに住むスイス人はどんな生活を送っているのか?カタールで石油開発大手企業に勤める地質学者、アンドレアス・ブリナーさん(53)に話を聞いた。

このコンテンツは 2022/11/13

開催国カタールには219人のスイス人他のサイトへが住む。ブリナーさんにカタールでの暮らしや仕事、開幕直前の雰囲気を聞いた。ブリナーさんは既婚、3人の子供がいる。

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6年前からドーハに住むアンドレアス・ブリナーさん。W杯を楽しみにしているという zVg

1997年にベルン大学で地質学の博士号を取得して以降、外国に住んでいます。シェルに勤め、最初はアフリカ、それからボルネオ島、現在は中東で働いています。今は石油・ガス掘削の際の地質調査を担当しています。

6年前から家族と首都ドーハに住んでいます。ほとんどの駐在員がドーハ在住ですね。下の子2人(娘と息子)はドーハの学校に通い、1番上の子は欧州の大学で学んでいます。仕事上、カタール人と関わることはありますが、プライベートでの付き合いはほとんどありません。付き合いは駐在員グループに限られますね。

カタールのスイス人コミュニティはこれまでの赴任地の中で最も大きいのですが、現地のスイス人とはほとんどコンタクトがありません。スイス大使館はとても活動的で定期的にイベントを開催しています。

8月は暑すぎてほとんどの人がカタールを離れるため、大使館は8月1日(スイス建国記念日)の祝賀パーティーをたいてい数カ月遅れで開催します。学校は夏の間2カ月間休みです。10月下旬にまた過ごしやすくなりますが、今はまだ日中30度以上あります。

夏季は40度を上回ることが多く暑すぎるため、サッカーW杯は11月に開催される Keystone / Robert Ghement

カタールでの生活はここ6年間、サッカーW杯の準備に大きく影響されました。ここに来たばかりの頃、郊外から中心部への通勤は、道路の整備が不十分で工事も多いため50分以上かかりました。しかし今では道路網の整備が進み、20分で済みます。

工事、埃、騒音、混沌とした路上。全てはW杯のためです。しかし、この間、ここで成し遂げられたことは驚嘆に値します。今では地下鉄も新しい美術館もでき、インフラ全体が改善されました。

近年の最大の難題は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、エジプトによる政治的断交でした。これらの国々への空路が廃止され、領空飛行が禁止になったため、空路での移動時間が増えました。

この約3年間続いた断交の結果、カタールでは自給率が上がりました。食料品は以前、輸入に依存していました。しかし乳牛が空輸され、野菜も冷却された施設で栽培されています。他の国なら恐らく崩壊していたでしょうが、この国にはお金があります。しかしこれは政治的な話で、カタールでは多くを語らない方がよいでしょう。

半年以上前からドーハはW杯で盛り上がっています。至る所に旗が掲げられ、超高層ビルの壁には巨大なサッカーのポスターが登場し、あちこちでカウントダウンの時計が動いています。多くの人が大会を楽しみにしています。

しかしW杯が日常生活に及ぼす影響は甚大です。学校は4週間休校になり、従業員の80%が在宅勤務を求められ、大半の道路は午前11時以降、通行止めになります。大会開催中の出張はほぼ不可能で、ホテルは満室です。こういった混乱を避けるため、カタールから出国する駐在員もいます。W杯を否定的にとらえる人も多いでしょうが、私は違うとらえ方をしたいと思います。

カタールはとても小さい国で、近年、隣国の影から抜け出すことに成功しました。また、F1 やその他のスポーツイベントの開催で、石油、ガス脱却後の将来に備えています。カタールはイベントを通して世界に良いイメージを打ち出し、現代的な国家になろうとしている、というのが私の解釈です。もちろん全てがバラ色と言うつもりはなく、どこでもそうであるように、改善すべき点はまだまだあります。それでもW杯に向けてカタールの状況は以前より公平になり、多くの点が改善されました。

私たちはスイスが出場するグループリーグの試合は全て観に行きます。チケットが当たったのは本当にラッキーでした。もっとも、スイス代表の試合はあまり人気がなかったからかもしれませんが。妻は英国人ですが、今回のW杯では断然スイスを応援します。

強制労働、搾取、多発する移民労働者の死亡

カタールはサッカー・ワールドカップ(W杯)の開催決定以降、厳しい批判にさらされている。国際サッカー連盟(FIFA)の開催決定後、移民労働者の労働環境は改善されたが批判は収まらない。

W杯開幕の1カ月前、人権団体アムネスティ・インターナショナルは新しい声明を発表他のサイトへ。その中でカタール政府とFIFAに対し徹底的な改善を求めた。同団体によると、現在も劣悪な環境は続き、いまだに同性愛は違法であり、報道の自由が制限され、労働者を保護する法律は不十分だ。

同団体は「何千人もの移民労働者は、賃金の支払いの遅延もしくは未払い、休暇取り消し、転職不可、といった問題に依然として直面している。また、労働者はこのような人権侵害に対して法的に訴えるすべがほぼない」と批判する。さらにカタールでは何千人もの移民労働者が死亡しているが、死因は明らかにされていないという。

ペルシャ湾に面するカタールの人口は約300万人だが、そのうちカタール人はたった15%。住民の大半はカタール国籍を持たない移民労働者だ。カタールは世界で最も外国人の割合が高い国の1つだ。

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独語からの翻訳:谷川絵理花

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