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マイノリティー

LGBTIQの権利を守る取り組み、スイスは西欧諸国に追いついたか?

スイスでは2022年に同性婚が合法化され、性的マイノリティの人たちの家族を持つ権利は多くの西欧諸国に足並みを揃えた。だが国内に住むLGBTIQの人たちは今もなお、様々な場面で差別や暴力を経験している。 

このコンテンツは 2023/06/30 16:47
Paula Troxler (イラスト)

同性婚が合法化された2022年7月1日、多くの同性愛カップルが正式な婚姻関係を結んだ。そのうちの1人、アドリエンさんは「この権利のために戦ってきた全ての人々に対する敬意の証として、この日にあえて式を挙げたかった」と語る。 

スイスには07年以降、ゲイやレズビアンのための「パートナーシップ制度」があった。だがそれによって得られる権利は異性婚のカップルに準ずるものでしかなく、多くのレインボーファミリーが同性婚の法制化を望んでいた。 

パートナーシップ制度は2022年7月以降、新規の登録はできなくなった。

LGBTIQとは? 

LGBTIQは、レズビアン、ゲイ、トランスジェンダー、インターセックス、クィアの略称。他にもLGBTIQA+という略称もある。Aはアセクシュアル(他者に性的欲求を抱かない人のこと)、「+」はこれ以外にも多様なセクシュアリティがあることを示す。 

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2021年9月の国民投票で有権者の3分の2が賛成し、成立した法改正案「全ての人に結婚の自由を」によって、同性カップルは共同で養子が取れるようになったほか、外国籍パートナーの帰化手続きも簡素化された。 

さらにスイスが近隣諸国より一歩抜きんでたのは、レズビアンのカップルに対して国内での精子提供を認めたことだ。代理出産、卵子提供は国内では引き続き禁止されたため、男性カップルが血のつながった子供を持つには多くのハードルが残る。 

これらの新たな権利を獲得するために、同性愛者の権利擁護団体は40年にわたり戦わなければならなかった。

保守的な家族観を持つスイス社会は、LGBTIQの人たちにオープンな社会へと変わってきている。同性婚が合法化される2年前の2020年には、性的指向に基づく差別が刑事罰の対象に盛り込まれた。 

また2022年から、身体と心の性が一致しないトランスジェンダーの人が住民登録役場で簡単に性別やファーストネームを変更できるようになった。 

しかし、国内外の専門家は、性的少数者の平等な権利を実現するまでには多くの課題があると指摘する。 

ヘイトクライムの増加 

性的マイノリティの人たちが以前に増して社会に受け入れられるようになってきた一方、国内ではこうした人たちへの差別や暴力が増えている。

特に目立つのがトランスジェンダーの人たちへの暴力・差別だ。トランスジェンダー・ネットワーク・スイス(TGNS)のアレックス・レヒャー氏は声明で「日々発生するトランスフォビア(トランスジェンダーへの差別や不寛容)を食い止めるため、国が市民社会と協力して私たちを支援することが肝要だ」と訴える。 

LGBTIQコミュニティの家族を持つ権利は大きく改善されたとはいえ、スイスは多くの部分で西欧諸国に遅れをとっている。

欧州・中央アジア54カ国のLGBTIQ団体を束ねる非政府系包括組織IGLA ヨーロッパが公表した「LGBT平等指数2023他のサイトへ」によると、スイスは中間の47%。スペイン(74%)やフランス(63%)、ポルトガル(62%)などに引き離されている。指数は性的マイノリティの人権がその国の法制度などでどれくらい守られているかを調べ、達成度合いを0〜100%で評価したものだ。 

報告書は、スイスではヘイトスピーチ・ヘイトクライム対策が不足していること、またインターセックス(身体の性が一般的に定められた男性・女性の中間か、もしくはどちらとも一致しない状態)の人たちの身体的権利が十分に守られていない点を挙げる。 

報告書はとりわけ、インターセックスの未成年者本人の同意なく不要な医療介入を行うことを禁止するよう呼びかけている。 

一部の超保守派の宗教団体は性的少数者に対して不寛容で、性的志向を矯正する「転向療法」を行うことがある。 

近年、同性愛嫌悪と戦う活動が学校教育の現場を中心として行われている。ベルン州を中心に活動する団体ABQ他のサイトへのように、民間がボランティアで取り組んでいるケースが多い。

JTI基準に準拠

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