地元経済の活性化
地域通貨はスイスでブームになりつつある。南部のヴァリス(ヴァレー)州では今年4月、地域通貨「ファリネ」紙幣の流通を始める。ジュネーブでは2015年、レマンと呼ばれる地域通貨の流通が始まった。
地域通貨イズナウのアイデアは、ジュネーブで行われた00年の夏祭り「ジュネーブ・フェスティバル」の資金集めに作られた記念通貨「サブリエ」がもとになっている。ファリネは、ヴァリス州シオンが06年の冬季五輪招致運動で発行した地域通貨が原点だ。
ファリネ他のサイトへの運営団体は紙幣の印刷費2万5600フランをクラウドファンディングで集めたと公表。流通枚数は8万枚で、協賛するカフェやタクシー会社、商店など100カ所で使える。
広報担当カティ・ベルトゥゾスさんは「ただ物のやり取りを増やすのではなく、地元経済に寄与している意識を向上させたい」と意気込む。
レマン他のサイトへは現在8万枚の紙幣が流通。レマン湖周辺や近隣のフランス語圏地域の店舗など350軒が協賛している。報道によれば、同様の地域通貨プロジェクトは他に10件ある。
レマンの広報担当、ジャン・ロシオさんは「地域通貨に対する市民の関心が高まっているのは、現行の経済システムや地元経済への不安感が根底にある。地域通貨は経済危機が起こった時のカンフル剤になるし、より持続可能な経済発展を促し経済的パートナー間の連携を下支えすることもできる」と自信を込める。
地域通貨は一時的な流行に過ぎないのか。サステナビリティ(持続可能性)と経済人類学を専門とするローザンヌ大のクリスティアン・アンシュペーガー教授他のサイトへは、地域通貨が経済にもたらす効果を疑問視する。
同教授は、スイスインフォの取材に対し、効果は短期間に過ぎないとする一方で、こうした取り組みの盛り上がりについて「通貨は政治的なツールだということを証明している。自分の生活に関わることは自らが決めたいという感情の表れだ。そうした動きは確かに拡大している」と指摘している。

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