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スイスワインの憂うつ

レマン湖畔ラヴォー地区にはスイス有数のブドウ畑が広がる Keystone / Laurent Gillieron

スイスが名産地であることは世界であまり知られていないが、2千年も前から初秋はブドウの収穫期。だが今年はスイス産ワインの売れ行きが悪く、生産者たちにため息をつかせている。

このコンテンツは 2019/10/24 06:00

スイスのワイン生産は生きた伝統だ。夏に西部ヴヴェイで開催されたフェット・デ・ヴィニュロン(ワイン生産者の祭り)は30万人の観客を動員した。だが生産者たちはあまりお祭り気分ではないようだ。

2018年産ワインはまだ在庫が残っているのに、もう今年の収穫期が来ている。樽いっぱいのワインは、既に厳しいスイスワイン市場で値下げ圧力がかかることを示唆する。生産者の心配は大きく、これまでにスイスのワイン生産主要4州が連邦政府に助けを求めた。

この数年、ワイン消費の35%を国内産が占める。ヴォー、ヴァレー(ヴァリス)、ジュネーブ、ヌーシャテルの4州は共同記者発表他のサイトへで、このままでは現在の国内需給バランスを維持できないと訴えた。農家の収益性が下がりブドウ畑の存続が危機に瀕しているという。

4州は「スイスワインの市場シェアを大きく引き上げ、外国産ワインとの競争力を高める」ために政府の支援を求めた。スイスワイン市場はそこまでひどいのか?いくつかデータを眺めてみよう。

比較的広い農地

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スイスのワイン生産はローマ帝国時代から続く。国土4万1285平方キロメートルのうち、ブドウ畑は148平方キロメートル。業界団体スイスワインによると、ブドウ畑の面積は世界20位だが、国土に対する比率では10位を誇る。

ブドウ畑はスイス全土にみられるが、フランス語圏やイタリア語圏に集中している。

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高い多様性

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スイスワインの原料となるブドウは240種にのぼる。全リストはこちら(スイスワインのサイト)他のサイトへ

最も多い品種はピノ・ノワール(赤)、シャスラ(白)、ガメ(赤)で、耕地面積はそれぞれ千ヘクタールを超える。ピノ・ノワールとガメはブルゴーニュ原産。ヴァレー州でファンダン(Fendant)と呼ばれるシャスラはまさにスイス原産で評判が高い。チーズフォンデュやラクレットといったスイス料理にもよく合うため、フランス語圏を中心にスイスで最もよく飲まれる白ワインでもある。

消費量は低下傾向

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調査会社M.I.S.トレンド他のサイトへが2017年に実施したアンケート調査他のサイトへによると、ワインは18歳~74歳のスイス人が最もよく飲むアルコール飲料だ。ワインを飲む人は回答者の8割で、ビールを飲む人の6割を上回る(複数回答)。例外はイタリア語圏のティチーノ州で、ワインを飲む人は66%で、ビールを飲む人の65%とほぼ互角だった。

スイス人のワイン消費量は世界でもトップクラスだ。1位のバチカンは1人当たりワイン消費量が年間50リットルを超えるが、スイスも37リットルと引けを取らない。2018年のスイス農業白書によると、2017年はスイスで249リットルのワインが消費された。ただ消費量は減る傾向にある。

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消費量現象の要因はいくつかある。アンケートによると、車の運転が飲酒を控える最大の要因だ。

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大海の一滴​​​​​​​

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国外ではスイスワインの存在はあまり知られていない。スイスワインは大海の一滴に過ぎないからだ。

国際ブドウ・ワイン機構(OIV)によると、2018年の世界のワイン生産量は2億9230万ヘクトリットル。国別ではスペインが最多の2090万ヘクトリットルで世界市場の19.4%を占める。フランスとイタリアが続く。

その一方で、スイスの生産量は79万2千ヘクトリットルで、輸出量はたったの1万4千ヘクトリットル。国内でほとんどが消費されてしまうが、それでも国内需要を満たせず、多くのワインを国外から輸入している。

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