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ノバルティス、後発医薬品に本腰 勝ち残り狙う

後発医薬品は先進国の医療費を削減し、途上国の医薬品アクセス問題にも道を開くと期待されている Keystone

スイスの製薬大手ノバルティス(本社・バーゼル)が、特許の切れた医薬品と同じ成分で売り出す後発医薬品(ジェネリック)市場で攻勢を強めている。

このコンテンツは 2005/03/01 09:28

後発医薬品は開発費がかからないため、新薬に比べて薬価が大幅に安い。

欧米では、国の医療費抑制策を背景に、市場に出回る薬の半分が後発品で占めるほどその普及率は高い。ノバルティスは買収による規模拡大を目指し、成長が続く後発品市場で勝ち残りを狙う。同社の戦略にアナリストからは賛否両論の声が上がっている。

規模拡大

ノバルティスは2月21日、ドイツの後発医薬品メーカーで非上場のへクサルと、へクサルと提携関係にある米後発品大手イオン・ラブズを買収すると発表した。

両社の買収総額は約100億フラン(約9,057億円)。

今回の買収で、ノバルティスの後発品部門「サンド」は世界最大の後発品メーカーに踊り出る。

ノバルティスのダニエル・バセラ最高経営責任者(CEO)は「高齢化が加速している現実を踏まえれば、医療費の抑制は先進国でも途上国でも急務の課題。後発品は医療費の軽減という点から患者のメリットにつながるはず」と話す。

賛否両論

同社が攻勢に出る背景には、医療費抑制を目指す各国政府の後押しが後発品の普及に拍車をかけているという事情がある。同社は買収によるスケールメリットを生かし、後発品の熾烈な値下げ競争を勝ち抜く考えだ。

ノバルティスの「攻め」の戦略について、専門家の意見は分かれる。

独サル・オッペンハイム銀行の企業アナリスト、ビルギット・クールホフ氏は今回のへクサルとイオン・ラブズの買収総額が両社合わせた売上高の4倍近くになると指摘した上で、「低価格で薄利の後発品事業の買収にしては高すぎる」と否定的だ。

一方、クレディ・スイス銀行のアナリスト、ルイス・コレア氏は「製薬業界は長いスパンで見る必要がある。各国が取り組む医療費抑制策に乗って、後発品市場は今後も伸びる。ノバルティスの機先を制した戦略は間違っていない」と強気な見方を示している。


swissinfo クリス・ルイス 安達聡子(あだちさとこ)意訳

補足情報

後発医薬品:


新しい薬の特許が切れた後に、同じ成分で製造・販売される医薬品。

ジェネリック医薬品とも言う。

巨額の開発費がかかる新薬に比べ薬価が大幅に安いため、後発品の利用が拡大すれば、医療費削減につながると期待されている。

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