暗号化の「殿堂」ジマーマン氏、スイス発仮想通貨の開発に参画
暗号化技術の第一人者、フィリップ(フィル)・ジマーマン他のサイトへ氏が、スイス発の仮想通貨プロジェクトに参画する。金属相場に連動する仮想通貨「ティベリウスコイン」を開発するスイスのベンチャー企業の最高科学・安全責任者に就任した。
米国人のジマーマン氏は12年、国際非営利組織インターネットソサイエティ(ISOC)が選考する「インターネットの殿堂」に選ばれた。14年に、行き過ぎた監視技術が横行する米国を離れ、セキュリティに特化したスマートフォン「ブラックフォン」の開発を進めるため、経営する「サイレント・サークル」の拠点をスイスに移した。同氏は電子メールやショートメッセージを暗号化するソフト「プリティ・グッド・プライバシー」の開発者としても知られる。
ジマーマン氏はティベリウスコインで、ブロックチェーン技術を活用した契約手法「スマートコントラクト」の安全性向上を担当する。
ティベリウスコイン(Tコイン)他のサイトへはスイスのツークに本社を置く商品投資会社「ティベリウス・アセット・マネジメント」が開発。今年後半にも発行し、11月にも取引所で交換できるようにする。Tコインの価格は複数の金属のバスケット相場に連動。ビットコインを始めとする仮想通貨の激しさを和らげるためだ。
Tコインの種類は「3色」ある。①技術に使われる「銅・スズ」②電動車両に使われる「コバルト・ニッケル、アルミニウム」③貴金属「金・白金・パラジウム」だ。ティベリウス・グループ他のサイトへの最高経営責任者(CEO)、クリストフ・アイブル氏によると、これらの金属価格は比較的見通しを立てやすく、Tコインの基礎を安定させることができる。
銅でコーヒーを買う
商品価格に裏付けられたTコインは、金属の取引はもちろん他の目的にも利用できる。「20グラムの銅で今日飲むコーヒーを買える。ブロックチェーン技術を使えば、金属を支払い手段にできる。人間が数百年前に普通にやっていた『物々交換』のように」。アイブル氏は金融情報誌ブルームバーグ・マーケッツのインタビューでこう解説した。
現在、ビットコインのほか千種類を越える仮想通貨が発行されている。金やダイヤモンド、原油など個々の商品価格に連動する仮想通貨は既にある。だがTコインは複数の商品価格にバスケット方式で連動させるため、より価格が安定しやすくなるという。

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