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教育

留学生がスイスの大学で学ぶのは難しい?

スイスの大学は新型コロナウイルスによるパンデミック(世界的大流行)にもかかわらず、引き続き外国人留学生に人気だ。

このコンテンツは 2022/03/13 09:00
Philip Schaufelberger (illustration)

連邦統計局が2022年1月に発表した統計他のサイトへによると、スイスの総合大学10校と名門工科大学2校の留学生数は「新型コロナウイルス危機とそれに伴うグローバルな移動への影響にもかかわらず」20年に前年比4%増加した。「21年も当初見通しでは20年と同様の傾向を示している」と報告した。

2020年の高等教育機関への留学者数は主に非欧州出身の入学者数がわずかに減少した。「しかしほとんどの場合、近隣諸国からの入学者数の増加により帳消しになっている」と統計局は述べている。

現在スイスの大学全体で外国人留学生が占める割合は31.4%だ。1990年度には19%だった。

「一般的に、学士よりも修士課程の方がスイスに学びに来る留学生に人気がある」と統計局は述べる。しかし留学生に最も人気があるのは博士課程だ。2020年度の博士課程入学者の57%が外国人留学生だ。この数字は経済開発協力機構(OECD)加盟国の平均25%を大きく引き離す。

安い学費

「図表で見る教育OECDインディケータ2019年版」のスイスの項目に、なぜスイスの博士課程が人気なのか説明されている。まずは平均を上回る研究開発費だ。「このおかげで博士課程の生徒の研究を在学中及び卒業後も支援できる」。さらに学費も安い。

例えば名門校、連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の2021年度の授業料は約1500フラン(約18万円)で、スイス国民であれ外国人であれ、全学生同額だ。これに対して米国の名門大学では留学生に対して年間平均5万ドル(約580万円)超の授業料が課される(ただし学費は安くてもスイスの生活費は高い)。

更にスイスの博士課程の学生は大学に雇用され報酬を得るため、経済的な負担が軽減されるのも理由の1つだ、とOECDは分析する。

留学生に人気の科目?自然科学とエンジニアリングだ。

厳しい入学許可取得

「象牙の塔の攻略には忍耐と自信、そしてほんの少しの経験者の手助けが必要だ」と語るのはアラサン・MJ氏。Swissinfo.chのインド人留学生ブロガーの1人で、ルツェルン応用科学芸術大学ファイナンス学科の修士課程で学んだ。

彼の場合、願書を出す前に学科の担当者と話し、入学できるかどうか事前に見通しをつけられたことが非常に役立った。

スイスの入学資格は比較的分かりやすいが、学業成績証明書や志望動機書など多数の追加書類を要求されることがある。

コロナ禍の入学

入学が許可されたら、欧州外からの入学希望者のほとんどはビザを申請し、スイス入国後は居住する州の滞在許可証を申請する必要がある。

欧州連合(EU)や欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国からの外国人留学生はコロナウイルスのパンデミック中も通常の入国ルールでスイスに入国できる。

第三国の学生は、通常の要件他のサイトへを満たしていれば90日を超える教育・訓練課程への参加が許可される。

志願者は教授言語の理解力を証明する必要がある場合が多い。教授言語はドイツ語、フランス語またはイタリア語のいずれかとなり得るが、英語が教授言語となる大学院課程も増加している。

経験談

過去数年のレポートやswissinfo.ch のブロガーによると、外国人留学生は一般的に志望大学に落ち着くまでのサポート、そして研究、将来的な仕事についてのサポートと幅広い支援を受けられることが多い。パンデミック中も留学生は支援を活用でき、「スイス・エラスムス学生ネットワーク(ESN )」をはじめとした学生組織は事務手続きから生活面の隅々までサポートする。

もう1人のインド人学生ブロガー、ゴーラブ・シン氏は、スイスでの研究生活は母国での生活とはかなり異なる、とパンデミック前のブログ記事に書いている。彼が学んだヌーシャテル大学の修士課程では理論よりも実践を重視し、就職に向けて準備できるカリキュラムだった。この点をシン氏は評価している。

彼が驚いたのは学生が教授をファーストネームで呼ぶことだ。「大学主催のアペロ(軽会食)で教授が学生と一緒に飲むことが数回あった。これはインドではなかなかないことだ。インドでは講師に対して『サー』か『教授』と呼ばなければならない。教授と親しく付き合うというのは考えられない」と語る。

卒業後の進路は?

2017年に統計局が発表した単発の調査によると、40%近くの外国人卒業生が卒業後スイスを離れている。そのうちの大多数が近隣諸国で就職した。

欧州出身者の卒業生がスイスで仕事を得るのは非欧州出身者よりも総じて簡単だ。「外国人学位取得者、特にEU圏外出身者は不採用通知に慣れなければならない」。こう話すのは、ジンバブエ出身のフンガイ・メトラー氏だ。ネットワークを築くこと、募集されていなくても応募すること、そして期待されている以上の努力をすることが最終的に就職に成功する鍵だったと同氏は話す。

連邦研究能力センター(NFS/PRN)の最新の研究により、スイス、EU、EFTA出身の応募者を優先することが制度化されている「優先規則」と呼ばれるものがあることが分かった。更にEUと結んでいる人の移動の自由協定はスイスの労働市場で欧州出身の学位取得者を優先する原因となっている。

また、STEM(科学、技術、工学、数学)分野の学位保持者は総じて職を見つけやすい、と同研究は報告している。

(英語からの翻訳・谷川絵理花)

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