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スイスで自殺ほう助がタブーではない理由

スイスで安楽死した日本人 世界はどう反応したか

日本人のヨシさんは今夏、スイスで自殺ほう助によりこの世を去った Kaoru Uda/swissinfo.ch

swissinfo.chが今夏配信した、スイスで安楽死したヨシさん(仮名)の記事には、フェイスブックを通じて世界中から大きな反響があった。

このコンテンツは 2021/11/06 08:00

日本人のヨシさんは神経難病を苦に、自殺ほう助団体ライフサークルの医療的ほう助により自死した。swissinfo.chはその最期に立ち会った。

「人生の出口を見つけることで生きる力を取り戻せる」

日本では安楽死が法律で禁止されている。だが日本語編集部のフェイスブック他のサイトへに寄せられたコメントのほとんどが、ヨシさんの選択を支持するという内容だった。

Tatsuoさんは友人をがんで亡くした経験を明かし「最期はモルヒネも効かなくなり、医療麻薬を打たれて、ほとんど意識のない状態だった。そこまでして、なぜ生かされなきゃいけないのか。僕は未来が無くなったのなら、じゃ!という感じでさらっとこの世とおさらばしたい」とつづった。

Shinichiroさんの妻は、スイスの別の自殺ほう助団体の助けを借りて亡くなったという。Shinichiroさんは「つらい病になっても、人生の出口を見つけることで生きる力や笑顔を取り戻す事もある」と明かす。

ロシア語圏他のサイトへも同様だ。Nataliaさんは「2時間ごとに痛みで目が覚めるのがどれだけのものか、私にはよく分かる。彼は正しいことをした」とヨシさんに同情の念を抱いた。Munaさんも「人は、何年も苦しみに苛まれる必要はないんじゃないか」と書き込んだ。

英語圏他のサイトへでも、多くの人がヨシさんの冥福を祈る温かいメッセージを寄せた。とりわけAliさんは「泣きながらこの記事を読んだ」と言い「素晴らしい両親だ。辛い時でも勇気を持って彼を支え、隣にいてあげた。生きていてほしいという自分達の願いよりも息子の思いを優先し、死を手助けした」と、息子の最期をそばで看取った両親に思いを巡らせた。Loriさんは「スイスにこんなサービスがあるなんて知らなかった。悲しいけれど、人道的な行為だと思う」と率直な思いをつづった。

「人生の終わり方は自分で決めたい」

スイスは自殺ほう助を合法化している世界でも数少ない国の1つだ。年間1千人超が自殺ほう助で命を終え、エグジットやディグニタス、ライフサークルなどの団体に会員登録する人は増え続けている。

「スイスに住んでいて恵まれていると感じる理由の1つが、自分の意志で人生を決められること。もう立ち行かないと思ったら、幸せに去ることができる」。イタリア語編集部のフェイスブック他のサイトへにそう書き込んだのはRobertoさんだ。Nikyさん(仏語他のサイトへ)も「この世を去ると決めた人にそのチャンスをくれるスイスに感謝。ゆっくり休んでください、ヨシさん」とメッセージを寄せた。

自国でスイスのような自殺ほう助が認められてほしい、という意見も多く上がった。

Sandyさん(独語他のサイトへ)は「全ての国でこれが認められていないのは悲しいこと。私は5年前にエグジットに会員登録した。在外スイス人でもサービスを受けられるのは素晴らしい。今私が住んでいるところでは禁止されているから」と書き込んだ。

あるユーザーは中国語編集部のフェイスブック他のサイトへに「アジアでも安楽死合法化を進める国が出てきてほしい」とコメント。Lorraineさん(英語)は「全ての国で自殺ほう助が行われるべき。どんな人でも、希望すれば、自分の選んだその時に尊厳を持って死ぬ権利がある」と率直な思いを語った。

終末期医療を行う病棟で6年働いた経験を持つMayukoさん(日本語)は、安楽死に反対する人たちにその過酷な現場を見てほしいと訴える。「全ての感情にふたをしないと気がおかしくなりそうな時もあった。尿が出なければ導尿、便が出なければ下剤と手を突っ込んで摘便、暴れたら抑制、死より先に身体が限界を迎えて身体が先に壊死する。患者がふと我に返って死なせてって言っても注入食を繋ぐしかない」

ただ法制化となると「(安楽死が禁止されている)世界のどの国でも、法整備は難しいだろうと思う。きちんと整備しないと大変な抜け道を作ってしまいかねない」とShihoさん(日本語)は考える。その一方で「実現する、しないは別の問題として、こういう議論が誰にでもできるようになればいい。言論の自由ってそういうことだと思う」(Yukiさん、日本語)と前向きな意見を寄せる人もいた。

「命の終わりは神が決める」

一方、信仰上の理由から自殺を忌むべきものと見なす人もいる。特にカトリックやイスラム教ではその傾向が強い。

Danaさん(ポルトガル語)他のサイトへは「私たちの命は極めて価値のある貴重な宝石であり、多くの愛とともに神に捧げるものだと私は考える。永遠に向かって旅立つ時は、神の決定を待たなければいけない」と書き込んだ。

Wilmaさん(スペイン語他のサイトへ)もまた「命は神から与えられしもの。それを私たちから取り上げていいのも神だけだ」と賛同した。

イスラム教では自殺を大罪とみなし、自らを殺めた者は地獄に落ちると信じられている。このためアラビア語編集部のフェイスブック他のサイトへには、自殺ほう助の考え自体に否定的な意見が多く上がった。

「金持ちだけ」

スイスで自殺ほう助を受けるには、団体にもよるがおよそ1万フラン(約110万円)かかる。収入のない人には減免措置があるが、それを知る人は少ない。

そのためか、Anethさん(仏語)は「幸せなのは経済的に余裕のある人。そうでない人たちは、失敗のリスクを伴う自殺を一人ぼっちでするしかない」と書き込んだ。Anaさん(ポルトガル語)も「スイスの自殺ほう助を受けられるのは金持ちだけ」と皮肉めいたコメントを寄せた。

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