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ゴダール監督の死 自殺ほう助は誰でもできるわけではない

2010年、スイス・デザイン賞のプレゼンテーションに出席したジャンリュック・ゴダール監督。チューリヒで撮影 © Keystone / Gaetan Bally

生涯を通して未開の地を切り拓いてきたジャンリュック・ゴダール監督(91)は、最期まで開拓者だった。ゴダール氏が選択した自殺ほう助。スイスでは、1日に4人がこの方法で自死している。だが監督のもう1つの母国フランスでは、この問題は議論が続く。 

このコンテンツは 2022/09/15
avec Keystone-ATS et la RTS

13日、ジャンリュック・ゴダール監督が自殺ほう助団体の助けを借りて自死したことが確認され、大きなニュースになった。ゴダール氏の近親者は「(ゴダール監督の)身体は疲弊していた。これ以上はもう続けられなかった」と説明。「様々な病気のためにもはや、普通に生きることができなかった」と述べた。 

ゴダール氏は1995年、自身のエッセイ映画「JLG/自画像」の中で、自らの死に触れている。仏紙ルモンドは「しだれ柳が苦しみ弔う映画墓(...)木と湖は最後の季節である冬のイメージを映し出している」と記した。ゴダール氏は2004年、仏紙リベラシオンに対し、1968年以降、「人の注目が集まるかと思って、やや山師のような形で」自殺を図ったことがあると語った。また、仏文化情報誌Inrockuptiblesには、何度も自殺を考えたが「恐怖で」ちゅうちょしたとも語っている。  

ゴダール氏は、2014年5月25日の仏語圏のスイス公共放送(RTS)のインタビューで、「もし私があまりにも病気なら、手車に乗って引っ張ってもらいたいとは思わない」と語った。 

フランスでは大論争の予感 

ゴダール氏の自死が報じられた日、フランスのエマニュエル・マクロン大統領は「新しい法的枠組みの可能性を視野に入れて」、人生の終わりに関する「幅広い市民協議」を始めると発表した。 

フランスでは、2016年のクレス・レオネッティ法で自殺ほう助を禁じる一方、深刻な苦痛を抱える末期患者には「持続的な深い鎮静」によって死を迎えることが認められている。倫理諮問委員会は最近、態度を軟化し、「厳格な条件」の下であれば「積極的な死の援助」を認める用意があるとした。 

政府声明によると「全ての国民に情報を提供し、終末期に関する問題の理解を深めてもらうため」、各地域の倫理関連団体が討論会を開く。緩和ケアチームや下院、上院議員との協議も行う。 

マクロン大統領は法改正に向け、2017年の政権発足以来初となる国民投票の実施を検討しているほどだ。 

世界の他の地域では? 

現在、世界では10カ国で自殺ほう助が認められている。医師が直接患者に薬物を投与して自死する積極的安楽死が認められているのはスペイン、オランダ、ルクセンブルク、ベルギー、カナダ、コロンビアの6カ国だ。 

だが自殺ほう助を受けるには多くの条件をクリアしなければならない。ほとんどの国が、対象を不治の病にかかった成人に限定している。オランダとベルギーだけが、18歳未満の人にも「死ぬ権利」を認めている。 

多くの国、特にアジアや中東は宗教的・文化的な理由から、自殺ほう助や積極的安楽死が依然タブー視されている。 

仏語からの翻訳・宇田薫

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